いのちの時間2 第4話(上) 作・相羽亜季実

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 舟よし食堂の扉を開けると、入り口のカウベルがちりんと音を立てた。

「いらっしゃい」

 カウンターの奥から顔を出した良夫は、中の様子を伺うようにそっと入ってきたひかりを見て、

「ああ、あんたか」

 と声を緩ませた。

「なんだ、戻ってきたのか。そのまま帰ってもいいって言ってたのに」

 良夫は前掛けで手を拭きながらカウンターから出てきて、

 ・・・

【残り 1815文字】



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