2025年5月27日 11:35 | 無料公開

東京電力福島第1原発事故に伴う除染土の再利用や県外処分の実現を目指し、開かれた閣僚会議で発言する林官房長官(中央)=27日午前、首相官邸
政府は27日、東京電力福島第1原発事故後に出た福島県内の除染土の再利用や県外処分の実現を目指し全閣僚が参加する会議を開き、首相官邸で除染土を使う方針を決めた。花壇などを想定し省庁での利用も検討する。再利用は難航しており、林芳正官房長官は「国民の幅広い理解醸成が重要だ」と述べ、必要性と安全性を情報発信するよう各省庁に指示した。
除染土の再利用は福島での実証事業以外では初となる。政府は先行事例を作り、各地の公共工事などでの活用につなげたい考えだが、受け入れる地域が現れるかどうかは不透明だ。
第1原発周辺に運び込まれた除染土などは約1400万立方メートル(東京ドーム11杯分)で、2045年3月までに県外で最終処分すると法律に明記。実現には処分量の低減が必須で、政府は、放射性物質濃度が基準を下回る除染土の再利用を急ぐ。夏ごろにロードマップ(工程表)を取りまとめる。
第1原発事故により放射性物質で汚染された住宅や農地の除染で出た土や廃棄物は、中間貯蔵施設(福島県双葉町、大熊町)に搬入されている。