超巨大ブラックホールから「風」 ガスの弾丸、全方向に噴出

超巨大ブラックホールから噴き出す弾丸のようなガスの「風」のイメージ(JAXA提供)

 地球から20億光年離れた銀河の中心部にある超巨大ブラックホールから、あらゆる方向へ弾丸のようなガスの「風」が撃ち出されていることが分かったと、東京大などの国際チームが14日付で英科学誌ネイチャーに発表した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)のエックス線天文衛星「XRISM」で観測した。

 ブラックホールはあらゆる物質をのみ込むが、周囲は明るく輝いており、光の力でガスが吹き飛ばされている。従来はガスが滑らかに噴き出していると考えられていたが、今回の高精度観測で全く違った姿が判明した。

 弾丸は星の原材料である銀河内のガスを押しのけ、星の形成を抑制している可能性がある。東京大の萩野浩一助教は、今回の発見が「ブラックホールと銀河が互いにどう影響を与えながら進化してきたかを解明する鍵になる」と語った。

 観測は昨年3月に実施。へび座に位置し、太陽の数億倍という巨大な質量を持ったブラックホール「PDS456」のエネルギー構造を解析した。


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