
金属スクラップヤードを規制する千葉県条例案が県議会で可決され、来年4月に施行される。県内のヤードは全国最多とされ、騒音・振動や油汚染、火災などが発生するケースも確認されている。県条例はヤード設置を許可制とし、許可の基準を明記。現場責任者を置くことを義務付け、措置命令や罰則も盛り込んだ。同様の条例は都道府県では全国で初めてという。
県によると、県内には昨年3月末時点で332カ所のヤードがあるとされ、全国でも突出している。地区別では千葉市若葉区が40カ所以上で最多。野田市、市原市、四街道市が続き、おおむね国道16号線沿いに設置されている。
周辺環境の影響では、78カ所で騒音・振動、34カ所で油汚染、27カ所で火災が発生。73カ所で外壁より高く金属スクラップが積まれたことによる崩落の恐れが確認された。
県条例は金属スクラップなど保管物の崩落や火災などを防ぎ、県民生活の安全確保や不安解消を図ることが目的。既存のヤードも含め全ての事業者はヤードの場所ごとに許可を取得することとし、許可申請に際しては周辺住民への説明会開催を義務付けた。
許可の基準は、崩落防止のための囲い設置や保管物の高さ制限、火災防止・水質汚濁防止の措置などを定めた。具体的な高さなどを示した規則を今後決定し、年内をめどに公布するとした。付近住民らの問い合わせに対応するため、現場責任者を置くことも求めた。
保管方法の変更命令や措置命令を定め、県職員がヤード内に立ち入り書類などを検査できる権限も明記。無許可営業や命令違反などに1年以下の懲役または100万円以下の罰金、届け出義務違反や立ち入り検査忌避などに対しては30万円以下の罰金とし、条例の実効性を確保した。
千葉市と袖ケ浦市はヤードを規制する条例を既に制定し、住宅地からの距離を規定しているが、県条例は農地などに拡大する懸念から同様の規定の導入を見送った。両市のように市町村が独自に規制する場合は、市町村の求めに応じて県条例の適用を除外できるとする条項を設けた。
熊谷俊人知事は「実効性のある条例にしていくために、ここからがスタート。事業者に条例の趣旨を理解してもらい、千葉県で適正な資源の循環が行われるように努めていきたい」と話した。