３日午前３時２０分ごろ、睦沢町小滝の会社役員、田中秀和さん（６１）方で、妻（５１）から「男が家に入ってきて夫が刺された」と１１０番通報があった。田中さんは胸などを刺されており、約２時間２０分後に病院で死亡が確認された。県警捜査１課は凶器が見つかっていないことなどから殺人事件と断定、茂原署に捜査本部を設置した。田中さんにトラブルがなかったかなど詳しく調べている。

　捜査本部によると、田中さんは胸や腹に刺し傷や切り傷が複数あった。田中さん方の包丁が残っていることから、凶器は男が持ち込んだとみられる。

　田中さん方近くの路上には、血痕が百数十メートルにわたって点々と残されていた。捜査本部は男が田中さん襲撃時にけがをした可能性もあるとみて、血痕の鑑定を進める。

　田中さんは妻と２人暮らし。当時、木造平屋建ての８畳寝室で妻と就寝中だった。妻が物音で目を覚ましたところ、田中さんと男がもみ合っていた。男はがっしりした体格で、黒っぽい上着姿だった。これまでに室内が物色されたり窓がこじ開けられたような明確な形跡はなく、捜査本部は盗まれたものがないか慎重に確認している。

　妻は「近くにあった木刀で男を殴った」と話しており、その後、別の部屋にあった電話から通報して勝手口から外に避難したという。その間に男は逃げたとみられる。妻にけがはなかった。

　現場はＪＲ外房線上総一ノ宮駅から南西に約３キロの田畑の中に住宅が点在する地域。