【未明の砦】(403) 太田愛・作 藤岡詩織・画

 ◆第四章 標的(十)

 矢上は目を閉じて深く息を吸い込んだ。広大な夜の雑木林は、微かに芳ばしい枯葉と土の匂いがした。キンと冴え渡った闇の中、脇(わき)が懐中電灯を手に駈け戻って来た。白い息を ・・・

【残り 852文字、写真 1 枚】



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