いのちの時間2 第5話(下) 作・相羽亜季実

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 次の日、多喜子は早朝の小舟駅で、ひかりを舟よし食堂のライトバンに乗せて、市場に仕入れに行った。

「あれ、多喜ちゃん!? どうしたの、良夫さんは?」

 どこでもそう尋ねられたが、

「それがねぇ、ぎっくり腰やっちゃったのよ。ううん、大したことないから心配ない。ねえ、今日はどんなの入ってます?」

 多喜子はブランクを忘れて、馴染みの店を巡っていく。市場の中は騒がしく、足元 ・・・

【残り 1776文字】



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