WHO、パンデミック条約が成立 ワクチン公平配分新ルール

スイス・ジュネーブで開かれたWHOの総会=20日(共同)

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)の加盟国は20日の総会で、感染症の世界的大流行(パンデミック)への備えやワクチン公平配分の仕組みを定めた新たな国際ルール「パンデミック条約」を採択、同条約が成立した。WHO脱退を表明した米国は総会を欠席した。

 新型コロナウイルス禍の経験を教訓に、甚大な感染症被害を繰り返さないよう、WHOが条約新設を目指してきた。加盟各国は条約成立を経て作業部会を立ち上げ、細則を作成する。細則がまとまった後、60カ国が批准などの国内手続きを完了すれば発効となる。

 条約は、製造したワクチンについて、10%の寄付を含む20%をWHOに提供すると明記。技術移転の促進やパンデミックの恐れのある病原体情報の共有、科学的根拠に基づく情報発信の強化も盛り込んだ。

 スイス西部ジュネーブで19日に開かれた最終議論のための会合では、南アフリカが、新型コロナウイルスのワクチン供給で途上国が取り残された経緯を踏まえ「途上国への特別な配慮が必要だ」と主張した。


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