慶大、子宮移植の実施計画を承認 出産目的の女性対象、国内初

子宮移植の臨床研究のイメージ

 慶応大は27日、子宮がない女性が出産できるようにするために第三者の子宮を移植する臨床研究の実施計画が審査委員会で承認されたと発表した。生まれつき子宮がない「ロキタンスキー症候群」の患者や手術により子宮を摘出した患者が対象。子宮移植が実施されれば、国内初となる。

 計画では20〜30代の3人程度に実施予定。あらかじめ患者の卵子を採取し、体外受精させた夫婦の受精卵を凍結保存する。子宮移植後に受精卵を子宮に入れ、妊娠、出産を試みる。子宮の提供者は母親ら親族を想定している。

 チームの木須伊織専任講師は「子どもを授かれない患者の選択肢が広がるという意味では期待できる技術。多くの課題もあるので体制整備をしながら慎重に進めたい」と話した。現時点で手術を実施するかどうかは決まっておらず、今後検討を進めるとしている。

 がん治療などで子宮を失った女性の出産にも道を開くと期待される一方、出産のために健康な提供者の身体にメスを入れることについて倫理的課題が指摘されている。


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