千葉県は10日、県北東部の2養豚場で「豚流行性下痢(PED)」に感染した豚が計約630頭見つかったと発表した。PEDは豚特有の病気で人へは感染しないが、県は拡大防止のため当該養豚場に出荷自粛を要請。周辺3カ所に消毒場所を設けたほか、県内の全313農場に衛生対策の徹底を呼び掛けた。
県畜産課によると、感染豚が見つかった養豚場ではそれぞれ約1750頭と約2800頭を飼育。今月8~9日に生後間もない子豚や母豚が相次いで下痢を発症し、免疫検査でPEDと確認された。感染経路は不明で、死んだ豚はいないという。
PEDは今年、全国的に流行しており、9日までに本県を含む21県で約18万7千頭が発症。県内では3月、南部の養豚場で1984年以来30年ぶりに感染が確認された。
県は10日、旭市と銚子市、東庄町の計3カ所に車両の消毒場所を設置。県の職員を派遣し、殺菌剤で養豚農家が所有する車体全体やタイヤ回りを洗浄したほか、車内や運転手の靴底も消毒した。消毒場所は午前7時~午後6時までの間、約1カ月間設置する。
旧海上中学校跡地(旭市後草)の消毒場所に来た30代の養豚業者男性は「農家にとって死活問題で、出荷に影響が出ないか心配。感染を防ぐために一般車両も消毒を行ってほしいのが本音」と語る。県内ほぼ全ての養豚農家が加盟する生産者団体「ナイス・ポーク・チバ推進協議会」の平野拓歩会長(58)は「風評被害が出ないように消費者へ周知していきたい。農家で連携し、消毒の徹底などを図る」と話した。
県畜産課は「ワクチンは現在、被害が多発している九州地方に集中しており、手に入らないのが現状。原因と感染経路の特定を急ぎ、被害拡大を防ぎたい」としている。
同課によると、県内では66万4300頭(2013年2月現在)の豚が飼育されており、12年度の産出額は約369億円で、いずれも全国3位。