対策途上でまたも被害 外水・内水巡り“応酬”も 茂原市の大雨浸水 【回顧2023 取材メモから】

浸水した道路で救助活動をする消防のボート=9月8日、茂原市
浸水した道路で救助活動をする消防のボート=9月8日、茂原市

 たたきつける雨にひるみながら、何とかカメラのシャッターを切った。足元は数十センチは水に漬かっていただろうか。水かさが増す道路の前で立ち往生する車もあった。

 9月8日午前8時ごろ、台風13号による大雨で茂原市内の道路は冠水していた。しばらくすると猛烈な雨は落ち着き、この場所では水が引き始めた。「一時的な冠水か」と、一安心したのもつかの間、自然の猛威は甘くなかった。同市で平成以降、5度目となる大規模な浸水被害が発生した。

 一宮川流域の市街地は泥水に覆われ、雨がやんだ夕方にはボートで住民を救助する消防隊員の姿も。普段と全く異なる街の光景にあぜんとした。

 翌日からは浸水した住宅や店舗、被災農家の取材を重ねた。浸水は広範囲にわたり、周辺の町では土砂災害も起きていた。「まだ伝え切れていない被害がある」。現場に足を運び続けた。

 2019年 ・・・

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