2023年10月17日 17:28 | 無料公開

華麗な包丁さばきを披露する坂本さん=17日、南房総市

庖丁式の奉納でマダイをさばく坂本さん=17日、南房総市
日本で唯一、料理の神様を祭る南房総市千倉町の高家神社で17日、包丁と、まな箸だけで魚介類をさばく伝統の「庖丁(ほうちょう)式」が執り行われた。奉納するマダイに浄衣(じょうえ)姿で向き合った女性料理人が熟練の包丁さばきを披露。五穀豊穣(ほうじょう)や豊漁を祈った。
同神社は料理の祖神「磐鹿六雁命(いわかむつかりのみこと)」を主祭神とし、全国から料理関係者や料理人を目指す学生らが参拝に訪れる。庖丁式は平安期の宮中行事を再現し、包丁と箸だけでコイやマダイなどをさばく儀式。同神社では毎年春と秋の例祭(今回)、11月23日の新穀感謝祭に合わせて奉納される。
「大慶(たいけい)之鯛」と題した今回、魚をさばく大役の「刀主」を務めたのは、日本料理の流派「四條眞流会」師範の坂本憲恵さん(33)。約100人の参拝客が見守る中、右手に包丁、左手にまな箸を持ち、無駄のない所作で大ぶりのマダイをさばいた。
普段は神奈川県箱根町にある老舗旅館の料理人として働く坂本さんは「新型コロナ禍が収束したので、そのよろこびを表現できたら」と話した。