2023年8月29日 05:00 | 有料記事

鶴乃家旅館の外観=市原市

鶴乃家旅館の名物の黒湯

養老川を望める「つる」の部屋を紹介する3代目の鶴岡代表
市原市と大多喜町の山あいにたたずむ房総の温泉郷、養老渓谷。渓流釣りやハイキングで人気の観光地だ。養老川沿いに十数軒点在する旅館の中で、市原市内で古くから宿として営業しているのが鶴乃家旅館。全国でも珍しい黒い温泉「黒湯」を売りにして営業している。
同温泉は1912年に個人宅の敷地から天然ガスが、14年には井戸から鉱泉がそれぞれ湧き出し、鉱泉を天然ガスで加熱したのが始まり。黒湯を堪能できる同旅館の創業は1924(大正13)年ごろ。現在の代表、鶴岡義高さん(62)は3代目。当時、林業が盛んだった加茂地区では、産出した木材を養老川で運んでいたため、木材の切り出しや運搬に従事する労働者向けの宿として開業した。昭和以降は温泉など観光目的の客が増え、周囲も林業関係から旅館に転換するところもあったという。
創業時からある旅館の黒湯の源泉温度は ・・・
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