中谷順子選 【日報詩壇】

 雨音 佐倉 西尾敬子

白黒の昔
缶を叩く雨音を
膝を抱えて聞いていた
あの子は私だったのか
雨音が膨らんで
遠く雷を起こしたようだ
台所で母の足に
しがみついてふるえてる
その子が私だったのか
ふうっと笑ってるのは母だ

目を瞑っている間にいつも
置いてっきぼり
みんな遠くへ行 ・・・

【残り 1375文字】



  • Xでポストする
  • LINEで送る