【未明の砦】(72) 太田愛・作 藤岡詩織・画

◆第一章 発端の夏(五十七)

「ああ、そりゃ樟脳(しょうのう)の匂いだね」と、秋山が答えた。

 そういえば矢上も玄関で微かに薬品のような匂いを嗅いだ記憶があった。あれ ・・・

【残り 738文字、写真 1 枚】



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