修学旅行での大阪・関西万博訪問を、一部の中学校で取りやめる動きがあることに関し、千葉県の熊谷俊人知事が８日の定例会見で「万博は修学旅行の行き先の一つとしてふさわしい」と述べたことが話題になっています。ネット上では「私の時代も万博に行ったが、ずっと覚えている」などと発言を肯定的に受け止める声の一方、「（他に）ふさわしい場所、施設はたくさんある｣「万博の内容自体は良いと思うけれど、学校側の取りやめ判断もおかしくない｣と行き先変更に理解を示す声など、賛否が渦巻いています。（デジタル編集部）

　修学旅行での万博訪問を巡っては、会場でのメタンガス検知を受け、一宮町が町立一宮中の訪問を取りやめると発表。習志野市では訪問予定だった４校中３校が行き先を奈良方面に変更したほか、船橋市では１校が訪問を中止しました。

万博会場付近

◆行き先変更「仕方ない」の声相次ぐ

　学校の行き先変更判断については、仕方がないのでは、という声が相次ぎました。

　「以前は小学生などの遠足に賛成だったけれど、開幕してから、かなりの混雑ぶりだと分かった。正直、団体では行動しにくいだろうと思う」

　「本当は先生たちも生徒に万博で楽しませてあげたいでしょう。しかし不安要素がそれを上回っている以上、安易に連れていくことが出来ないのは仕方がない事だと思います」

　「学校として、リスクが見えているところに行って、万が一の事態が起きてしまった場合を考えての判断なのでしょう。生徒のことを考えているからこその判断と言えるのでは」

　中には、「今問われているのは、安全・安心が確保できているのかという問題。メタンガスや熱中症対策、引率、休憩、混雑などの不安が解消されていれば、誰も行くのをやめろとは言わない」「引率で行く教師たちは警備員やボディーガードではない」といった厳しい意見も寄せられました。

　一方で、万博の安全性について「心配されすぎでは」と感じる人々もいます。

　「万博は、入場者のキャパシティが決まってるし、車は来ない。大屋根リングや団体待機所のように日陰もある。警備員やガイドがたくさん配置されている。他の観光地よりも安全だと思うんだけど？」

　「万博に行ってきましたが、万博内のトイレは並ぶことなく、熱中症対策の給水ステーションもあり、大屋根リング下は日陰と風が通り木のベンチもたくさん並べられていて、安心して利用できると思いました」

定例会見で語る熊谷知事

◆知事は家族で訪問「子どもたちに見せるべきと実感」

　万博に訪問しないことについて、熊谷知事は各学校の判断としつつ、「世界各国の歴史や文化を座学ではなく、実感できる場面はそう多くない」と万博の意義を説明。「修学旅行の行き先の一つとしてふさわしい」との認識を示しました。

　こうした知事の発言については「最終的に学校の判断を尊重するならバランスのとれたものと思う。万博が貴重な機会になりうることは確かだろうし、万博行きを取りやめた学校も否定していない」と評価する声がある一方、「修学旅行先としてふさわしい場所、施設はたくさんある。この発言は現場の判断を暗に批判しているような印象にもなりかねない」と懸念する声も寄せられました。

　熊谷知事は会見で、大型連休を利用して家族と万博を訪れたことを明かし「各国のパビリオンへのデザインのこだわりを見ることができて、さまざまな刺激が得られるイベントだった」と評価。「個人としては子どもたちに見せるべきと実感した」と話した一方、予約アプリの使いづらさや入り口の混雑などの課題も指摘しました。

　これについて「知事は家族だけを見れば良いが、教員は多くの生徒を見なければならない。各学校の判断で良いと思う」といった声も寄せられました。

　このほか、実際に行った高校生とみられる人物もコメント。最初はニュースやＳＮＳの情報から不安に感じていたものの「いろんなパビリオンに行けて、とても楽しかった」と振り返りました。その上で「日本の技術力も見られるし、すごく意義的。今しか体験できないと考えたら行くべきだと思います」とコメントしていました。

万博訪問について報告する熊谷知事の「Ｘ」ポスト

◆過去の万博経験者「ずーっと覚えてる」

　また、過去の万博に修学旅行で行ったという人は「ずーっと覚えてる。修学旅行で行けて本当に良かった。あの年でないと体験できなかったから、今でも月の石で話し弾みます」と振り返りました。

　一度きりのチャンスになる修学旅行。各学校が今後、どのように判断していくのか、注目が集まります。