晩春の民家 匂い立つ陽光浴び輝く 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 すっかり暗くなって、農村の明かりがまたたく晩春の頃。あわてて庭から立ち去ろうとして、ふと振り返ると、たわみのにじむかやぶき屋根の端から丸い大きな月がゆらりとのぞいてびっくりした。

 その時、音も感じられない微妙な静けさの中に、民家の影が大地を黒く染めていたのを夢を見るように深く思い出している。意識の中に遠 ・・・

【残り 1369文字】



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