【ふつうの家族】(10) 辻堂ゆめ・作 伊藤健介・画

 うつ伏せにしなだれかかるようにして、上がり框(かまち)に頭と両腕を預けている。えんじ色の玄関マットは、男の髪から滴る水でひどく濡(ぬ)れていた。
 
 きゃあ、と甲高い悲鳴が聞こえる。

【残り 808文字、写真 1 枚】



  • Xでポストする
  • LINEで送る