2024年11月9日 05:00 | 有料記事

飯縄寺境内と欄間彫刻(右下=観光マップより)
房総半島太東岬のふもとに由緒ある飯縄(いづな)寺(いすみ市)があります。源義経が奥羽に向かう途中、同寺に立ち寄ったという故事にならって、安房国の彫り師・伊八が欄間に彫った傑作があるといいます。
飯縄寺の山門に立つと立派な仁王像に迎えられ、村田住職によって古刹(こさつ)の雰囲気のある本堂に導かれました。住職は誇らしげに向拝の「龍」欄間に「牛若丸と大天狗」「波と飛龍」の彫刻を見せてくれました。見学の後、伊八はなぜ「波」「龍」を彫ったのかと疑問が沸いてきました。
彼は江戸時代中期、安房国長狭郡下打墨村(鴨川市打隅)で代々名主を務めた武志家の5代目として生まれました。武志伊八郎信由。手が器用なので10歳から彫刻を始め、躍動感と立体感あふれる「横波」を彫って作風を確立しました。
ここからは私の推測です。10歳の少年は毎日 ・・・
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