2024年10月5日 05:00 | 有料記事

大原港全景
当連載9回目の記事「最後の紀州漁民ふたり」でタイ釣り名人・中口佐市に続いて紀州・雑賀崎から大原町(いすみ市)に住み着いて「遊漁船」で大成功を収めた中井丸一を紹介しました。今回は雑賀崎の中井家とは分家の関係になる「藤井家の末裔(まつえい)の房総漁師・藤井敏昭さんを大原港近くの自宅に訪ねました。彼は戦後に大原町で生まれ「長福丸」3艘(そう)の代表として、観光漁業を経営されています。
雑賀崎の漁師だった藤井家は紀淡海峡を中心に「タイの一本釣り」を求めてきましたが、漁の限界を感じて、雑賀崎漁業組合の助成金制度を活用して移住を検討しました。昭和の初めにタイの一本釣り漁場を求めて伊豆大島へ遠征します。そこで房州の漁師から勝浦沖にタイの漁場があると聞き、勝浦まで遠征して勝浦港に入港するようになり、やがて勝浦に移住します。
その後、タイの漁場を求めて北 ・・・
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