論説

芸術を守るのは我々の責任 川村記念美術館、来年1月休館 【論説】

DIC川村記念美術館
DIC川村記念美術館

 「川村記念美術館をいま絶賛している人のほとんどが年に1回も行っていないだろう。僕もそうだ」。批評家の東浩紀さんがX(旧ツイッター)でつぶやいた言葉に、我が国の地方美術館の将来を案じざるを得なかった。

 佐倉市のDIC川村記念美術館が来年1月に休館する。運営母体のDICによれば、運営効率化のため規模縮小と都内への移転を軸に検討し、運営中止の可能性も排除しないという。年内に結論を出すとしているが、県内からの撤退は濃厚だ。

 現代美術の豊富なコレクションで知られる同館は1990年の開館以来、数多くの魅力的な展覧会を開催。それだけに地元住民は衝撃をもって受け止めた。県外の多くの美術ファンからも惜しむ声が上がり、同館の魅力が全国に浸透していた様子がうかがえる。

 ただ、2013年にはバーネット・ニューマンの絵画「アンナの光」を103億円で売却。18年には日本画展示を終了するなど兆しは徐々に現れていた。

 公共の予算が投じられる公立美術館に比べ、入場料や商品販売収入、企業業績などに大きく左右される民間美術館の運営は困難が伴う。とりわけ地方ではその傾向が顕著だ ・・・

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