完治ないアルコール依存症 「弱み見せられる場」必要 千葉県断酒会・阿井公夫会長(73)が語る 背景の悩み打ち明けて

断酒会の活動を説明する阿井さん=千葉市中央区
断酒会の活動を説明する阿井さん=千葉市中央区
阿井さんが寄稿した文章。自助グループで大切なのは「孤独にさせないこと」と記している
阿井さんが寄稿した文章。自助グループで大切なのは「孤独にさせないこと」と記している

 飲酒運転が後を絶たない。取り締まりに特化した捜査班の発足や改正飲酒運転根絶条例の施行など、県を挙げた対策でも根絶は遠い。八街児童5人死傷事故を起こした運転手はアルコール依存症の認識がなかったと公判で説明したが、仕事中にも飲酒を重ねていた。千葉県断酒会の阿井公夫会長(73)は「アルコール依存症は回復はしても完治はない。背景に他の問題が潜んでいる場合が多い」と話す。「一生向き合う病気」だからこそ、弱みを打ち明けられる場が必要と実感し、悩める人たちと一緒に断酒の道を歩んでいる。

 阿井さん自身もアルコール依存症の当事者。婿養子に入った阿井さんは実家と婚家との板挟みにストレスを感じてお酒を多量に飲むようになっていった。「365日、飲んでいた。1日にウイスキーをストレートで半瓶ぐらい。何でも理由を付けて飲む。(依存症に)なるべくしてなった」と当時を振り返る。

 その頃、工場のフォークリフト運転手として働いており、3交代制の勤務時間直前まで飲酒をして酒が残った状態で仕事に行った日も。二日酔いで仕事を休むようになり、酒の影響で家族に暴言を吐くこともあったという。周囲から勧められ、治療のために病院へ通い始めた。36歳までに12回の入退院を繰り返し、退院後に断酒会へ入会した。

 断酒を決めた阿井さんを襲ったのは「離脱症状」だった。お酒を飲みたくてたまらなくなり、ガタガタと震えながら我慢していたという。そんなつらい時期に支えにな ・・・

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