郷愁のかやぶき屋根 早春の民家 絵・文 道塚元嘉 【民家の四季】

 風のない夜明けの地上一面にうっすらと覆う霜。霜はあたりの音を吸うのか、不思議なほど静かであった。庭に置き忘れた農具に霜が降りていたのも妙に覚えている。

 また、庭の日陰には落葉をもたげて土まみれになった霜柱を見ることも多かった農村の原風景。まだまだ寒さは厳しい日が続くが、木々は少しずつ芽吹き始める。

 さすがに日脚も延びて、一番懐かしく濃い郷愁を覚えるかやぶき屋根に、早春の息吹が感じられ、しなやかな気品をたたえてひときわ美しい姿を見せる。

 毎日のように野良仕事に追われる農家の暮らし。春浅く寒い朝は暖をとるため広い戸外で稲わらを赤 ・・・

【残り 1309文字】



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