

“食のプロ”が集まる千葉市地方卸売市場内の食堂街で半世紀以上続いてきた町中華。シンプルなしょうゆラーメンは創業時から変わらぬ製法で、昔ながらの懐かしい味を楽しめる。市場内という立地も生かし、ラーメンと海鮮丼のセットなど他店にはない独自メニューも生み出しており、店主の平林伸介さん(62)は「食のプロでも、一般の方でも満足してもらえる」と胸を張る。
創業は1969年ごろ。平林さんの父が「早朝から働く人が冷えた体を温める場になれば」と構えたのが始まり。「店を継げ」と言われて育った平林さんは中華料理店での修行を経て23歳の時に華葉軒に戻り、以来2代目として妻の明美さん(56)と店を切り盛りしている。
看板メニューのしょうゆラーメン(税込み550円)は鶏ガラや野菜で取ったスープに、特注の細麺を合わせ、あっさりしつつもコク深くやさしい味わい。豚バラをトロトロになるまで4時間煮込んで作る平林さん特製チャーシューとのり、なると、メンマがのったごくシンプルなラーメンだが、何度でも食べたくなる味だ。
最近は「ラーメンと鉄火丼」や「ラーメンと海鮮ちらし」(いずれも税込み1280円)といった斬新な組み合わせのセットも始めた。「場所柄、海鮮丼を食べたい方がいて『じゃあやってみるか』と。毎日市場で新鮮な海鮮を仕入れている」と平林さん。意外な組み合わせだが「酢飯とラーメンは合うみたいで。注文する人がけっこういるよ」と笑う。
創業からこだわってきたのは町中華らしい安さとおいしさ。市場内にあるため、来店客の多くは市場関係者や食材を仕入れに来る食のプロだが、退職後も足しげく通ってくれる市場関係者などファンも多い。
原材料費の高騰で値上げに踏み切る店舗が多い中、「安くておいしい町中華でおなかいっぱいになってほしい」と価格も据え置く。約80もある全メニューのうちほと ・・・
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