2023年8月19日 05:00 | 有料記事

いろりがある昔ながらの客室を紹介する4代目の鈴木さん=南房総市

昭和初期の頃に撮影されたとみられる鈴木屋旅館の外観(鈴木さん提供)

現在の旅館の外観。2019年の台風で深刻な被害を受け、屋根や壁などを改修した
南房総最大の漁港があるまちとして古くから栄えた千倉。千倉漁港からほど近い場所にたたずむ旅館「魚拓荘鈴木屋」は、大漁を祝う漁師たちをもてなす料理店として始まり、自然災害を乗り越えながら120年以上にわたりのれんを守ってきた。新鮮で豪快な磯料理と昔ながらの客室、4代目主人の真心こもった接客で、リピーターを中心に多くの観光客の心をつかむ。
創業は1899(明治32)年。四国・丸亀藩出身の武士だった初代が、戊辰戦争後に千倉で漁師相手に料理店を開いたのが始まり。当時はお抱えの芸者もいたといい、4代目の鈴木健史さん(62)は「漁師たちは陸にいる間、魚を売ったお金で毎日うちで宴会をしていたらしい」と、創業初期の様子に思いをはせる。
やがて、千倉の漁港に揚がる新鮮な魚介類 ・・・
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