ニホンアナグマ 寝息立て眠る 成田篤彦 【房総の草木虫魚】(402)

ニホンアナグマ 食肉目イタチ科 県産で頭胴長51~64センチ。本州から九州に生息。前脚の爪が大きく頑丈。県要保護生物=5月12日、木更津市(木暮文雄氏撮影)
ニホンアナグマ 食肉目イタチ科 県産で頭胴長51~64センチ。本州から九州に生息。前脚の爪が大きく頑丈。県要保護生物=5月12日、木更津市(木暮文雄氏撮影)
谷津田のニホンアナグマ。県内ではムジナ、ホンムジナ、ササグマ、マミ、アナホリというが、タヌキと明確に区別してないことが多く、タヌキよりも数が少ない=2012年4月29日、木更津市(筆者撮影)
谷津田のニホンアナグマ。県内ではムジナ、ホンムジナ、ササグマ、マミ、アナホリというが、タヌキと明確に区別してないことが多く、タヌキよりも数が少ない=2012年4月29日、木更津市(筆者撮影)

 五月晴れの谷津田、早苗やコナラの花がさわやかな風で揺れていて、サシバ(タカの一種)が「クッピョー」と上空を旋回しながら鳴いている。山際の農道を上っていると柴犬に似た獣が山陰から飛び出した。驚いてカメラを構え、シャッターを切ったが、農道から、トントンと水田に降り、低い姿勢で地面を這うようにあぜを素早く走り、向かい側の土手のやぶに潜り込んでいった。

 頭が小さく、脚は短い。全身が黄土色だが、胴が黒っぽく、尾は明るい黄色でふさふさしていた。「アナグマ(ニホンアナグマ)!夜行性なのに昼間いるとは!」としばらくぼうぜんとしていた。アナグマはもこもこしていて縫いぐるみのようであった。谷津田の初夏はアナグマが昼間活動するほど命あふれる季節なのかと思った。 ・・・

【残り 1005文字】



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